分析:MSCIが仮想通貨保有企業を除外すれば、100億〜150億ドルの資金流出も
キーストーン
• MSCIが仮想通貨保有企業を除外する可能性があり、パッシブ投資家が大規模な売却を余儀なくされる。
• 除外対象となる企業のリストには、米国、日本、欧州の大・中・小型株が含まれている。
• MSCIの決定は、指数連動型ファンドや市場全体に大きな流動性の移動を引き起こす可能性がある。
• 企業は資金調達手段やデジタル資産の保有比率を見直す必要がある。
• 自己保管運用体制の強化が、指数ドリブンの市場変動からのリスク軽減に重要である。
2023年12月18日、企業のためのビットコイン推進団体「Bitcoin For Corporations(BFC)」は、株価指数大手MSCIが仮想通貨を自社資産として保有する企業(いわゆる「仮想通貨財務会社」)を株式ベンチマークから除外するという新たな方法論の導入を検討している件について警鐘を鳴らしました。仮にこの変更が実施された場合、パッシブ投資家は関連銘柄を最大150億ドル分売却せざるを得なくなる可能性があると指摘しています。
この推定は、時価総額調整後の浮動株ベースで約1,130億ドル規模の、上場されている39社からなる「暫定リスト」に基づいています。この動きは見出しとしては株式市場の話ですが、そうした機械的な売却は、企業のバランスシートによるビットコイン等デジタル資産の需要を抑制し、オンチェーン市場にも波及する可能性があります。MSCIの資料および状況の概要については以下をご参照ください。
- BFCによる見積もりの要点まとめ(theblockbeats.info)
- MSCIによる「デジタル資産財務会社」(DATCOs)に関するコンサルテーション文書および対象銘柄リスト、スケジュール(msci.com)
MSCIの検討内容と決定時期
MSCIは現在、保有資産の50%以上をデジタル資産が占め、その主要業務が「財務・資産運用活動」とされている企業を株式指数から除外すべきかどうかについて、正式なコンサルテーションを実施中です。この意見募集期間は2025年12月31日まで設けられており、結果の公表は2026年1月15日、実際の実装は2026年2月の指数見直しに向けて検討されています。
同文書には、影響を受ける可能性のある39銘柄が暫定的にリストアップされています。詳細についてはコンサルテーションPDFをご確認ください(msci.com)。
この問題が重要なのは、MSCIの指数に連動する市場規模が極めて大きいためです。2025年時点で、MSCI株式指数に連動するETFの資産残高は2兆ドルを超え、MSCI指数をベンチマークとしている資産総額は17兆ドル以上に及びます。そのため、わずかなルール変更でも巨大な流動性の移動を引き起こす可能性があります。(msci.com)
予想される資金流出規模
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全体規模:BFCは、仮にMSCIの暫定リスト上の企業が指数から除外された場合、米国をはじめとする世界のパッシブファンドから100億〜150億ドル規模の売りが発生すると試算しています。これは時価総額の調整を行った1130億ドルの市場規模に加え、指数トラッキングファンドがどの程度銘柄を保有・複製しているかを考慮したものです。(theblockbeats.info)
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個別銘柄での試算:JPMorganは、現在「Strategy(旧称 マイクロストラテジー)」として知られる企業が除外されれば、それだけで最大28億ドルの売却要因となり得ると試算しています。他社も同様の除外を行えば、その流出は88億ドル規模に達する可能性もあると報じられています(coindesk.com)。
これらの予測は、企業の定義や分類といった指数ガバナンスの決定が、当該企業をはるかに超えて市場の流動性にインパクトを与えることを物語っています。
暫定リストに名前が挙がった企業は?
MSCIによる暫定リストには、米国、日本、欧州など世界各国の大・中・小型株が含まれており、純粋な「財務保有型」だけでなく、マイニングやデジタル資産に関連した金融サービスを手がける企業も含まれています。リストのデータは2025年9月30日時点の時価総額と流通株ベースの情報です。詳細はMSCIのコンサルテーションPDFをご確認ください(msci.com)。
また、企業が保有するビットコイン資産の拡大とその市場への影響については、CoinDeskによる概要報告が参考になります(coindesk.com)。
指数見直しが市場に与える影響の仕組み
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パッシブ運用の再調整:指数連動型ファンドは、見直しが実施されたタイミングでリストから外された銘柄を売却・追加された銘柄を購入するため、需給が短期的に偏りやすくなります(実施は2026年2月予定、決定は2026年1月15日)(msci.com)。
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副次的影響:指数から除外された企業は、資金調達コストの上昇、市場での流動性の減少、新規の株式・債券発行への制約などネガティブな影響を受ける可能性があります。これにより、デジタル資産の保有そのものが企業戦略上のリスクとして認識されやすくなります。(coindesk.com)
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他指数への波及:MSCIの動きが他の指数提供事業者にも波及すれば、指数全体を巻き込んだ大規模な一斉売却が起こる恐れもあります。
意見分かれる議論:中立性、公平性、会計制度の違い
この提案に反対する立場としては、従来のベンチマーク中立原則に反し、デジタル資産という価格変動の大きな要素によって“崖”のような分類リスクが発生する点が指摘されています。また、米国会計基準(GAAP)と国際財務報告基準(IFRS)によるデジタル資産の扱いの違いにより、同じような事業構造を持つ企業でも国ごとに分類結果が異なるリスクもあります。これらについてはStriveによる書簡が詳しく言及しています(cointelegraph.com)。
一方、MSCIはこの問題を「分類基準」として扱っており、デジタル資産が資産の50%を超え、主たる事業が財務運用である企業は、ファンド(通常は株式指数の対象外)に近い性質を持っているのではないかという問いを市場に投げかけています。
今後2026年2月までに注目すべき点
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コンサルテーションの終了と決定発表:フィードバックの締切は2025年12月31日、結果発表は2026年1月15日、実施は同年2月を予定(msci.com)。
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パッシブファンドの保有状況:再構成に先立ち、指数連動のファンドがどのようなポジショニングをとるかに注目。MSCIに連動する資産規模の情報は参考になります(msci.com)。
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企業の財務戦略の変化:該当企業が資金調達手段(例:ATM発行を控える、負債構成を調整)やBTC/ETHの保有比率を調整する動きがあるかどうか注視。
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長期的な市場動向:規制の不確実性にもかかわらず、2025年にはBTCを保有する上場企業が大きく増えており、今後指数政策がこうした流れを妨げるのか、それとも方向性を変えるのみか、検証が重要です(coindesk.com)。
財務部門と投資家向けの実務的な示唆
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指数リスクのシナリオ分析:MSCIの暫定リストを起点に、仮に指数除外された場合の株価下落、バランスシートへの波及効果を複数シナリオで想定しておくことが有効です。
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財務統制の強化:デジタル資産運用に関しての社内ポリシー(損益ヘッジ、負債圧縮、外貨シフト等)を文書化し、分類リスクにも耐えうるガバナンス体系を整備。
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カストディ体制の見直し:極端な市況変動時には、オペレーション上のミスこそが最大リスクとなります。コールドウォレット、マルチシグ、人的検証可能な署名システムなどでリスクを最小化しましょう。
企業・個人の財務資産を守るために
たとえMSCIがどのような決定を下したとしても、堅牢な「セルフ・カストディ(自己保管運用)」体制を整えておくことで、指数ドリブンの市況変動から業務を守ることが可能です。高度なマルチシグ運用やポリシー制御が求められる企業や上級ユーザーにとっては、監査済み・オープンソースのファームウェア、真のオフライン署名、EAL6+のセキュアチップを備えたハードウェアウォレットが信頼の基準となります。OneKeyのデバイスは、多チェーン対応、エアギャップ対応、明示的署名フローを提供し、指数イベント時の運用リスクを低減します。頻繁なリバランスや複数承認者の管理が必要なチームは、再構成前に体制のアップグレードを検討する価値があります。
さらに読みたい方へ:
- MSCIによる「デジタル資産財務会社」コンサルテーション(適用範囲、50%閾値、スケジュール、暫定リスト):こちらのPDFをご参照ください



